3.シールドケーブルがノイズに強い理由 |
私たちの身の回りのには蛍光灯・テレビ・エアコンなど電磁波を発するものが多くあり、これが楽器の信号に混ざると「ジー」「ブーン」といった不快な音が発生します。
この電磁波等、楽器本来の信号以外の電気信号の事をノイズと言います。またノイズが楽器の信号に混ざって不快な音が出ている状態を「ノイズが乗っている」などと言います。
まず、シールドケーブル以外の電線でギターをアンプに接続する場合を考えてみます。
ノイズは信号線を覆っている絶縁体などお構いなしで導体に入り込みますので、
<図1>の様にノイズがギターの信号に混ざってしまい、出音はノイズが乗ったものになってしまいます。 |
<図1:シールドケーブルを使わなかった場合>
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ここで、信号線の周りを導体で覆ってみます。覆った導体を地面へ接続します。
こうすると、外側から来たノイズは信号線に届く前に覆った導体に入り込むので、そのまま地面へ流れていくのです。よってギターの信号・出音にはノイズが乗りません。<図2> |
<図2:信号線の周りを導体で覆う = シールド>
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この信号線の周りを導体で覆ってノイズの混入を防ぐことを「シールドする」と言います。
そう、シールドケーブルはこの仕組みを利用してノイズの混入を防いでいるのです。
ですからシールドケーブルとは「信号線の周囲を遮へい用の導体で覆ってある電線」の事なのです!
実際は、周りを覆っている導体はギターの弦に接続されており(大抵はブリッジに結線されています)、弦に手を触れると人体を通って地面にノイズが流れ落ちる仕組みになっています。ギターの弦を手で触れていないとノイズは地面に落ちませんので、アンプからの出音にノイズが増えます。
また、実際はシールドしても100%ノイズを遮へいする事はできず、多少は覆っている導体をノイズが通り抜けて信号線に混ざってしまいます。この漏れノイズの大小がシールドケーブルの品質を判断する一つの要素と言えるでしょう。この周囲の導体は細い電線を編みこんである物や、アルミ箔で覆ってある物など色々な種類があります。一般に高価なケーブルほど導体がガッチリと信号線を覆っている様です。安物のケーブルは覆っている導体がスカスカです。
ただし、ギターやベースの場合、信号線をシールドしてノイズ対策しても、ピックアップがノイズを拾ってしまいますので、いくら高級なシールドケーブルを使用しても多少はノイズが乗ります。 |
<図3:実際のシールド>
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楽器をやっている方であれば、ある日突然ケーブルの調子が悪くなってノイズが乗りまくる状態になった経験が一度位は有ると思いますが、この原因は「シールドケーブルの導体の断線」「プラグ-ジャックの接触不良」「ギター内部配線の断線」であることがほとんどです。
<図4>の様に、ノイズが地面へ流れ落ちる通り道がどこかで切れた場合、シールドの効果は無くなってしまいますので、ノイズが信号線に混ざるのです。このような場合、切れてしまった通り道をつなぎ直せば解決できます。 |
<図4:通り道が切れると効果なし>
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